鼻の日帰り手術について
外来通院での治療で改善が難しい鼻の疾患に対して、当院では日帰りでの局所麻酔下の手術を行っています。内容の詳細につきましては、お気軽にご相談ください。なお、診察の結果、手術が必要と判断した場合は、その理由や手術内容など、また当院で局所麻酔下に手術が行える状態か、それとも病院をご紹介し全身麻酔下での手術が必要な状態か、丁寧にご説明させていただきます。
当院で行っている鼻の手術は、すべて内視鏡下で鼻の穴の中で行う手術のため、顔に傷がつくことはありません。
アレルギー性鼻炎に対して行う手術
鼻づまり
下甲介粘膜切除術
鼻づまりに対して行う手術
鼻中隔矯正術
下甲介粘膜切除術
鼻茸切除術
内視鏡下鼻副鼻腔手術
(ESSⅡ型)
慢性副鼻腔炎・嗅覚障害に対して行う手術
内視鏡下鼻副鼻腔手術
(ESSⅡ型・Ⅲ型・Ⅳ型)
鼻中隔矯正術
下甲介粘膜切除術
鼻中隔矯正術(内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ型)
鼻中隔弯曲症に対して行う手術です。
鼻の入り口の粘膜から切り込み、曲がっている鼻中隔の軟骨・骨のみを取り除き、切り込んだ粘膜を縫い合わせます。シリコンプレートを挿入し、鼻中隔を左右からしっかり挟みこむことで曲がった粘膜もまっすぐに矯正します。術後1週間の外来でシリコンプレートは抜去します。
鼻づまりに対して行う手術ですが、慢性副鼻腔炎の手術のときも鼻腔内の手術視野を広く確保するために、この手術を先行して行います。
局所麻酔で30分から1時間の手術です。
下甲介粘膜切除術(内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型)
下甲介(鼻腔の下部にあるヒダ)の粘膜を減量する手術です。
アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎が持続することで、下甲介の粘膜が肥厚し(肥厚性鼻炎)、鼻の呼吸路が狭くなると、難治性の鼻づまりが出現します。内服や点鼻で改善がない場合にこの手術を行います。
手術では、下甲介の前方の粘膜から切り込み、内部の粘膜組織を吸引切除しスリムな下甲介に作り変えます。鼻の呼吸路が確保され、鼻づまりが改善します。
局所麻酔で30分の手術です。
鼻茸摘出術
慢性副鼻腔炎を発症した際に発生する病状のひとつが鼻茸で、鼻ポリープとも呼ばれます。鼻茸とは鼻の中の粘膜がブヨブヨと茸状にふくれたもので、良性の腫瘍です。ある程度の大きさになると鼻呼吸の通路をふさいでしまい、鼻づまりの症状が出現します。特に後鼻孔ポリープといって鼻ののどへつながる部位にできた鼻茸は、ひどい鼻づまりを起こしやすいため鼻茸を切除する手術が検討されます。
手術では、鼻茸をできる限り根っこで摘出します。術後の出血を防ぐためにソーブサンという止血を促す綿を鼻の中につめます。術後2日より自宅で鼻うがいを開始し徐々に綿を洗い流し、術後1週間の外来で完全に除去します。その後は再発がないか外来で経過か観察を行います。鼻茸の再発を繰り返すようであれば、より根っこから鼻茸を除去するために内視鏡下副鼻腔手術を再度行うことがあります。
局所麻酔で15分から30分の手術です。
内視鏡下鼻副鼻腔手術(Endoscopic Sinus Surgery; ESS)
ESSはその名のとおり内視鏡を用いて鼻・副鼻腔にある病変に対して行う手術です。
その手術の範囲からⅠ型からⅤ型まであります。
Ⅰ型
副鼻腔自然口開窓術
Ⅱ型
副鼻腔単洞手術(前・後篩骨洞、前頭洞、上顎洞、蝶形骨洞)
Ⅲ型
選択的(複数洞)副鼻腔手術(Ⅱのカッコ内の2つ以上の洞)
Ⅳ型
汎副鼻腔手術(一側すべての洞)
Ⅴ型
拡大副鼻腔手術(両側前頭洞単洞化手術、頭蓋底手術、眼窩手術)
当院ではⅠ型からⅣ型までを行っています。
Ⅴ型については高度な手術であり、限られた病院でのみ実施されています。
外来通院による保存治療で改善がない慢性副鼻腔炎に対して、手術治療を行います。
副鼻腔CTでどの副鼻腔に炎症や粘膜肥厚、ポリープ、膿汁貯留が残存しているかを見極め、それに合わせて手術の範囲(Ⅰ-Ⅴ型)を決定します。
副鼻腔は骨の仕切りで細かく多くの部屋に分かれています。それぞれの部屋の中にたまったポリープや膿、鼻水、炎症による肥厚した粘膜を取り除いていきます。それと同時に骨の仕切りをはずし、細かく分かれた複数の部屋をひとつの大きな部屋にリフォームすることで風通しを良くし、今後副鼻腔炎が再発しにくい構造に作り直すこともESSの目的です。
局所麻酔で、手術時間はⅠ・Ⅱ型で15分から30分、Ⅲ・Ⅳ型で45分から1時間です。
手術の止血処置(ソーブサン)について
当院ではどの手術の場合も、出血を防ぐ綿であるソーブサンを鼻につめて止血を行います。
術後2日目より自宅で鼻うがいを開始し徐々にソーブサンを洗い流し、術後1週間の外来で完全に除去します。
以前は軟膏を塗ったガーゼを鼻にパンパンにつめて圧迫止血を行っており、手術直後は鼻の圧迫感が強く、術後1週間のガーゼ抜去は激痛を伴っていました。それに比べてソーブサンは鼻の圧迫感も少なく、抜去時の痛みもほぼなく、止血効果もとても良好です。手術中だけでなく手術後も患者さんにストレスをかけないような治療法を心がけております。
鼻の日帰り手術は杉﨑医師が担当しております。外来担当日はトップページの外来担当医をご確認ください。
手術は木曜日の午前に行っております。
当院での手術前後のスケジュールは下記をご覧ください。